出典:産経新聞 2024-09-26
9/25(水) 16:24配信
星野リゾート(長野県軽井沢町)の星野佳路(よしはる)代表は25日、大阪市内で開いた記者会見で、インバウンド(訪日客)が急増してきた背景に円安があり、足元の円高基調が「必ず(観光業に)マイナスになる」と危機感を示した。持続可能な訪日市場を形成するにはリピーターを増やす努力が欠かせず、来年4月開幕の2025年大阪・関西万博には、大阪市内や地方の魅力発信や周遊観光につなげる役割が求められると強調した。
星野氏は「(円が)安いからいま日本へ行こう」という訪日理由が増えている現状に触れた上で、足元の円高基調によって訪日客の伸びが鈍化する可能性を指摘。 8月の訪日客数は293万3千人と、7カ月連続で過去最高を更新するなど新型コロナウイルス禍前を上回る勢いだが、円安が理由の訪日客の増加は「需要の先取りでもある」とも述べ、持続可能な訪日市場の形成には「(為替に)左右されない訪日観光のあり方を考えねばならない」と強調した。 具体策のイメージとして、20年間に20回訪れた観光客を「ロイヤルゲスト」として特別にもてなすスイス南部のツェルマットの事例などを挙げた。 一方、訪日客向けと日本人向けで異なるサービス価格などとする「二重価格」が、オーバーツーリズム(観光公害)対策として日本国内でも注目されている。 これに関し、星野氏は「本来は全体(の価格)を高くし、需要を減らすべきで、訪日客だけを高くする仕組みは慎重にすべき」と指摘。そのうえで「日本のもてなしの姿勢として悪い印象を持たれないよう配慮した方法を考えることが大事だ」と訴えた。
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